1000年1月 :人事
バイアード「ジャドウ様、今月はどのように致しましょう」
ジャドウ「武将数を増やす」
バイアード「つまり、探索、ということで宜しいですね。
では、誰を探索に…」
ジャドウ「それはもう既に行っている」
ゴルベリアス「はぁ?」
ジャドウ「来い」
???「…は、はい」
…キィ…
ルドーラ「ほう…」
バイアード「な……!」
スノー「そうではない方もいますが…お初にお目にかかります。
ルネージュ公国元君主、リトル・スノーと申します」
ジャドウ「と、いうわけでスノーがこちらに着くことになった。
…何か言いたげな連中がいるが、何かあるか」
ザラック「失礼ながら申し上げます、ジャドウ様。
いつのことかは忘れましたが、かの女王の勧誘は一度陛下直々に行い、それから見事失敗に終わった記憶があるのですが…」
ジャドウ「そんなこともあったかもな」
ゴルベリアス「誤魔化すんじゃねえよ」
バイアード「へ、陛下、陛下、陛下!」
ジャドウ「…何だ」
バイアード「これは、これは一体どういったことに…!?
く、詳しくは説明できませんが、ルネージュが滅びることは何か後々、多大な矛盾を孕んでいるような気がしてならないのですが…!」
ジャドウ「…いつだったかは忘れたが、空耳が聞こえてきてな」
バイアード「は?」
ジャドウ「『約十年間別離したままで最後のほうに約一週間愛欲だけの日々プラス数ヶ月一緒にいられるルートと、約十年間部下の目があるものの一緒にいられるが将来性がないルート、どちらがいいか?』との問いかけに俺は…」
ザラック「後者を選んだ、と?」
ジャドウ「そうなる」
バイアード「し、し、しかし…」
ジャドウ「まあ身内にその手のことに関して煩そうなのが出てくると予測できたからな。
喜べ、バイアード。貴様の娘と部下は貴様の棟に放り込んでおいたぞ」
バイアード「私の娘を傷物にせんで頂きたいのですが!」
ジャドウ「しとらんぞ。
それにしてもバイアード、こんなところで悠長にしていいものか?」
バイアード「どういう、ことで…?」
ジャドウ「我が軍には大陸に名を轟かせるほどの変態がいるからな」
スノー「………」
ザラック「………」
ゴルベリアス「………」
ルドーラ「…お三人とも、何か?」
ジャドウ「…そんな奴がいる城に、娘を部下一人に任せるだけでは、あまりにも…」
バイアード「くっ…!
グラウス、メイミー…、無事でいろ!」だっ
ジャドウ「フッ、単純な奴め…」
スノー「…あの、ジャドウ?」
ジャドウ「どうした」
スノー「暗黒不死団は、バイアード殿とあなたの取り引きによって魔王軍から独立したと伺ったんですけど…
これでは、バイアード殿の行いが無意味になってしまいません?」
ジャドウ「暗黒不死団が早々に滅ぶルートだからな。仕方ない」
スノー「普通、こんなに早くに滅びるなんてありえないんですけど…」
ジャドウ「それを言うなら貴様の国にも言えることだろうが」
スノー「そうですけど…おかしいですよ…。
わたし自身、どの国に滅ぼされたのかも、あまり覚えていないんです…」
ザラック「それにしても珍しいですね。
貴方が魔力の高い娘さんを前にして、何も動いていないとは」
ルドーラ「フフフ…
いかな私と言えど、ジャドウ様のいる前で浚うような真似はせんよ…」
ゴルベリアス「んなこた知ってる。
こいつが言ってるのはバイアードの娘のことだろ」
ルドーラ「ああ…あのお嬢さんかね?
あれにはどうも食指が動かんのさ。
確かに条件はいいが…組み伏したところで父親の顔を思い浮かべるだろうし…」
ザラック「なるほど」
ゴルベリアス「それで、今度は何やらかして成功したんだ?
とうとう力ずくで浚ってきやがったのか?」
ジャドウ「ふざけたことを抜かすな。
スノーの誇りをかけて交渉を行ったまでだ」
スノー「………」
ザラック「つまり、脅したと」
ジャドウ「何故そうなる」
ゴルベリアス「それしかねえだろ」
ジャドウ「フン、そうは言っても誰一人の命もかかっていない、俺にしては珍しく穏便な交渉だったと明言出来るがな」
ザラック「認めましたね、荒っぽい交渉事しかやってないと」
スノー「よく言いますね…
あんな卑怯な真似をして…」
ルドーラ「ほう?」
ゴルベリアス「どんなだよ?」
スノー「あの…少し、言い辛いので…」
ルドーラ「それでしたら尚更伺いたいものですな…
かの清廉たる女王陛下が、どのような手段で堕ちt」
ジャドウ「ガイツ・シュトローム」
ドドドドドドドドド…
…ぐぎゃぁああああああああああああ…!
ゴルベリアス「これであの変態は聞けねえから安心しろ」
スノー「は、はあ…
その、ドウムからですね、射影機、でいいのかしら…」
ザラック「確か、瞬く間に情景を絵にしてしまう、というものでしたか?」
スノー「はい、それです。
それを奪ってきたみたいで、…あの、言い辛いんですけど、わたしが、ちょっと、乱れた格好のときに、盗み撮られたみたいで…」
ザラック&ゴルベリアス「あー」
スノー「断れば気付かれないように国内に流しだすって言い出して…
まあ、国民がそんなもの見たところで、情勢的にはきっと、大した変化は起きないんでしょうけど…!」
ザラック「恥辱は確実に受けますからね。
お察し致しましょう」
ゴルベリアス「そりゃ女のあんたが脅しに屈しても仕方ねえな」
スノー「はい…ありがとうございます。ザラック殿、ゴルベリアス殿」
ザラック「呼び捨てで構いませんよ。
貴女は陛下が認め、私を現世に甦らせてくれた方です。
そんな方に対し、私は必要以上の礼儀を強いる立場におりません」
スノー「はい。わかりました」
ゴルベリアス「おーおー、相変わらず猫被りは得意らしいな」
ザラック「では貴方は精々気を使われれば宜しい。
女性に怖がられるのは得意でしょうしね」
ゴルベリアス「言ってろ。
…俺はかたっくるしい真似は嫌いだ。分かるな?」
スノー「…わかりました、ゴルベリアス。
それでしたら、わたしも呼び捨てにして頂いて構いません。
対等な立場でいたいですし、わたしだけ慎重に扱われるのは不公平ですから」
ザラック「それではよろしくお願いします、ス…」
ゴォッ(スノーを呼び捨てにしていいのは俺だけオーラ)
ジャドウ「…………」←発信源
ザラック「………リトル・スノー様」
スノー「もーうー、ジャドウ!
変な独占欲を出さないでください!」
ジャドウ「変なとは何だ変なとは!
事実、貴様は俺のものだろうが!」
スノー「あなたのものだったら大体脅しなんてする必要ないじゃないですか!」
ジャドウ「その脅しに屈した奴が何を言う!!」
ザラック「いや、もう、結構ですよ?
慣れてるんで、我々は」
ゴルベリアス「てめえだけだろ…」
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