魔導世紀1080年――。
ネバーランド共和国人間代表のアンクロワイヤーが逝去。
それにより、魔族代表であるロゼも代表の座を辞退し、元老となる。
次期人間代表最有力候補として挙がったのは、共和国補佐官の一人ギュフィ四世の子息であるギュフィ五世。
新たな魔族代表も決定し、着々と任命式への準備が進むなか、ある事件が起こる。
バージス王国領・ピュルッツ宮殿。
ハイデベルグ「今日兄さんに来てもらったのは、とある事件の収拾について依頼するためだ」
ゼロス「当然だろ。
でなきゃ誰がテメエの顔なんか見に来るか」
ハイデベルグ「…相変わらず手厳しいな。
まあいいさ、本件に入ろう。
――共和国の代表候補、ギュフィ五世が襲撃に遭った。
兄さんたちには、そのギュフィ代表の救出を依頼する」
ゼロス「相手をぶっ潰すワケにはいかねえのか?」
ハイデベルグ「犯人は身内の人間らしくてな…。
奴さん、自分の始末はなるべく自分で付けたいらしいんだが…何分目立つし、隠密行動は範囲外らしい。
オレも共和国には借りがあるし、美人の頼みは断れなくてね」
ゼロス「情けねえ奴らだぜ。
…テメエもテメエだ。
オレ達しか当てがねえのかよ」
ハイデベルグ「そんなこと言うなよ。
共和国からの代理依頼となれば、報酬も桁違いだし、救出先の警備も厳重で暴れるのには事欠かない。
おまけに、ギュフィ王国も躍起になって助けようとしてるから、同業者との小競り合いもあるだろう。
…悪い条件じゃ、ないと思うがね?」
ゼロス「…ハッ!
随分見ない間に、口は達者になったみたいだな。
いいぜ、その依頼受けてやる。
で、どこに行きゃいいんだ?」
――敵の目を掻い潜り、同業者を出し抜いたゼロスたちは、ギュフィ五世を救出。
しかし。
ギュフィ五世「貴方は……誰?」
ギュフィ四世「!?」
ロゼ「……記憶が、ないのか……?」
混乱する共和国上層部。
そして。
兵士「申し上げます!
く、クーデターです!
新魔族代表のイグニア様が、クーデターを起こされました!」
ギュフィ四世「……何だと!?」
ロゼ「……やはりお前か、イグニア」
クーデターは一見成功したかに見えた。
しかし、元共和国首脳陣は、バージス王国への亡命を成功させる。
ゼロス「今度もオレ達の出番だとよ。
掻き入れ時だ、とっとと準備しろ」
アデル「………」
リディア「………」
ゼロス「…なに黙ってんだ」
アデル「嫌よ…あたしは行かない!
彼女は、…イグニアはあたしの後輩よ!
彼女のお母様もヴァラノワールの卒業生だもの、きっと何かの間違いよ!」
ゼロス「それは本人に聞くんだな」
アデル「ええ、そうするわ…。
絶対に、彼女がそんなことするわけないんだから!」
アリア「…アデルさん…」
リディア「…あたしもさ、実はそれが気になっちゃって…。
だからね、みんなとも、今日で一端お別れってことで」
アリア「リディアさん、も…?」
少しずつ離れていく仲間たち……。
シオラ「ごめんね、ウチ、もう、無理なんだ…」
ブリジッテ「あんたなんか!
あんたなんかあんたなんかあんたなんかあんたなんか……!!」
ケイ「お嬢様…!」
ヴァン「……失望したよ、あんたには」
遂に。
???「アリア、ゼレナ、そしてデューザ…」
デューザ「は……」
アリア「………」
ゼレナ「………」
「冥界軍、出撃せよ」
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