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21~30:Minoritenとこの


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21~30

 久々の魂TS。
 久しぶりということも兼ねて通常の二倍モードでいくことに。
 しかし男ル・フェイさんのヴィジュアルイメージが固まってないせいか予想以上に口調が困難だ! 男アルフリードも男ニヴァもすんげースムーズにイメージ思い浮かぶのに!ヽ(`Д´)ノ  
21/マスタッシュの森4-1 戦闘中
キュオ彦「フレデリ知……」
フレデリ知「キュオ彦、そこを退くんだ。
 君は彼らに毒されている」
キュオ彦「毒されてなんかないよ!
 フレデリ知こそ、一体どうしてそんなこと言い出すのさ!?」
フレデリ知「君は彼らの本当の顔を知らないんだ。
 ……いいや、彼ら自身も気付いていない。
 自分が、私利私欲のために森を汚している犯罪者だということに」
キュオ彦「そんな……なんで勝手に決め付けるんだよ……。
 じゃあ聞くけどね、フレデリ知?
 この人たちをここまで連れてきたのはボクなんだよ!
 フレデリ知の親友のボクが、ハイレインを目指すボクが、森を汚して平気な人たちと、一緒にいると思うの!?
 それをフレデリ知は、毒されてるって思うの!?」
フレデリ知「……それは……!」
キュオ彦「だから、……だから、大丈夫だよ。
 そんなことしたら、ボクはちゃんとこの人たちを怒るから。
 フレデリ知のこと、傷つけても怒るから!」
フレデリ知「…………」
キュオ彦「だから、お願いフレデリ知。
 ボクは、キミを傷つけたくないから……。
 だから、わかって……!」
フレデリ知「………………。
 僕の考えは、間違っていたかもしれない」
キュオ彦「じゃあ……!」
フレデリ知「けれど、間違っていないかもしれない。
 今は、どちらなのかわからないけれど……」
キュオ彦「…………」
フレデリ知「真偽を明らかにするのは、僕の目でそれを見据えてからでも間に合う。
 だから今は、武器を収めましょう」
キュオ彦「……よかったぁ……」
マキ美「これで終われば確かに『よかった』んだけど」
ゲイ子「兄ちゃん、アタシらに武器を収めると言った以上、この場は手伝ってもらうよ!」
フレデリ知「……いいでしょう。
 ただし、必要以上に残虐だと感じ取った場合は……」
ゲイ子「そんときゃあんたの好きにしな!
 煮て食うなり、焼いて食うなり、何でもね!」
フレデリ知「…………」


22/マスタッシュの森4-1 戦闘終了後
キュオ彦「フレデリ知……!」
フレデリ知「キュオ彦……心配かけてごめん」
キュオ彦「ボクはいいんだ。
 けど、他のみんなは……」
ニヴ貴「その辺は、フレデリ知君の受け取り方次第だからね。
 俺たちがどうこう言える立場じゃないってのは、わかってるよ」
フレデリ知「…………」
マキ美「けど、理由ぐらい聞かせてくれてもいいでしょう?
 どうしてキミみたいなレンジャーが、一人でいるの?」
フレデリ知「……一人ではありません。
 ノーヴァ教の方々が、別の地域で活動してくれているはずです。
 貴方がたについても、事前に特徴や、人数の連絡をくれて……」
マキ美「ノーヴァ教……?」
アキラ「知ってるの?」
ニヴ貴「人の噂をついつい聞いちゃうようなのなら、大体知ってるはずだよ。
 最近出てきた新興宗教らしいけど、どうもその広まりようが爆発的過ぎて胡散臭いね。
 それに、俺たちと君をぶつけ合うつもりだったらしいし……。
 言っちゃ悪いけど……キミも、騙されたんじゃない?」
フレデリ知「……けれど、僕には人手が、助けが必要だったんです。
 力や数に屈しないために、話を聞いてもらう土場を作るために。
 それがどんな目的を持った人たちであれ……僕の理想に手を貸してくれるのなら……」
アキラ「……その理想のために、誰かを犠牲にしても平気ってこと?
 そんなの、あんたが敵視してるような連中と同じ手段じゃない」
フレデリ知「……それはっ!」
ゲイ子「言いすぎだよ、アキラ。
 この兄ちゃんみたいな間違いは、誰だって犯すもんさ。
 今後、あんたが誰かを踏み台にして理想を取る可能性だって、ないとは言い切れないだろう?」
アキラ「…………」
マキ美「じゃあフレデリ知くん。
 そのノーヴァ教の連中から話を聞けば……あたしたちの疑いは晴れるかしら?」
フレデリ知「……ぶつけ合った理由を、聞くんですか?」
マキ美「ええ。
 キミもその連中が薄々怪しいと思ってたんなら、その辺も白黒はっきりさせたほうがいいでしょう?」
フレデリ知「……わかりました。
 彼らが見張っている場所は分かっています。
 案内しましょう」
マキ美「よろしく頼むわ」


23/マスタッシュの森4-2
フレデリ知「……あそこの、神殿にいるはずです」
シロ「おおっ!
 よもやと思ったが、まさか同じ場所とはなんたる偶然っち!」
ゲイ子「なんだ、あんたが言ってた場所もここなわけ?」
シロ「ふふん、その通りっち」
ゲイ子「じゃ、あの奥にお宝もあるワケだ」
シロ「………………そ、それは」
だらだらだらだら
ゲイ子「ああ?
 返事はどうしたのさ」
シロ「ぐ、ぐーぐーぐー……」
ゲイ子「はん、今どき寝たふりで誤魔化されるバカがいるもんか。
 おら、さっさと証明しないと、エビフライにして食っちまうよ!」
シロ「ひっ、ヒィイーッ!」
フレデリ知「…………」
キュオ彦「あの、フレデリ知?
 疑ってる? 怒ってない?」
フレデリ知「……いいや、大丈夫だよキュオ彦。
 あんな自分に素直そうな人たちなんだから、きっと君の見たとおりの人たちなんだろう。
 けれど……問題はあの奥の……」
キュオ彦「……うん」
ニヴ貴「……あそこ、誰だ?
 男……?」
????「そなたたち、何用があってここに参った」
マキ美「……知り合い?」
フレデリ知「いえ、ノーヴァ教の人たちと知り合ったのはつい最近ですし……」
ゲイ子「アタシらはその神殿の中にいる連中とちょっとした……話し合いが必要になってね。
 こいつの用事はこいつに聞いてくれ」
ぽいっ
??????「なんだこれ……。
 白いヒヨコ虫?」
シロ「キィイーッ!
 トサカを指で摘むとは、なんたる無礼者っち!」
??????「喋った!?」
????「……それより気にすべきことがあるぞ、アルフリー信。
 そこの娘、その腕輪をどうした」
アキラ「これは、森で瀕死の女の人に託された。
 ……すぐに死んじゃったけど……」
????「それは我等が双女神神殿に奉られていた神器の一つ。
 報告されていた賊とは、主らのことか……」
マキ美「ちょっと、急に賊扱いする必要はないでしょ!?」
????「奪われた神器を持っていれば、誰とて賊と思う。
 賊が他人に神器を託すとは、いささか不可思議ではあるが……。
 それは返してもらうぞ」
アキラ「……断る。
 あの人は命がけであたしに託したんだから。
 返してほしいなら、あんたたちも命がけで奪ってみなさいよ」
????「望むところ。
 見上げた気概よな、娘」
アルフリー信「やだねえ、感情を優先しちゃって、道理が見えてないってのは。
 まあわっかりやすいのは嬉しいけどさ」
シロ「んならヌシも、道理に則り、とっとと手を離すっち~!」
アルフリー信「あ?
 あー、はいはい」
ぽいっ
シロ「んぬぅ!?
 と、とにかく、この先を……」
????「それも断る。
 この神殿は双女神神官のみの立ち入りしか許されぬ故な」
ニヴ貴「なら俺は行けるんだね。
 ついでに、俺の仲間であるアキラたちも、大丈夫なわけだ」
????「何者だ」
ニヴ貴「双女神神殿巡検使、ニヴ貴。
 流れで大道芸人をやっててね……、報告書は一応送ってるつもりなんだけど。
 彼女たちが賊じゃないことは、我が信仰にかけて証言するよ」
アルフリー信「……ル・フェ明、ニヴ貴なんて知ってるか?」
ル・フェ明「主は報告書を読んでおらぬのだな、アルフリー信。
 ニヴ貴という者の報告書ならば何度か私も目を通したし、その容姿ならば彼のものの評価と一致する。
 ……なるほど、双女神神官がいれば話は変わ……!?」
モンスター「キュイーイ!」
ニヴ貴「どうやら、穏便に事が運ぶ展開ってのはなかなかないみたいだね?」
マキ美「全くだわ……。
 お兄さん方、よろしければモンスター退治、手伝っていただけるかしら?
 こっちの事情は、こいつらを倒した後で……ね?」
ル・フェ明「よかろう」
アルフリー信「……マジかよ、しゃーないなあ。
 けどオイラはまだ信用してないからな!」
ゲイ子「好きにするといいさ。
 あんたが生き残ってたらの話だけどね、ガキンチョ」


24/ドゥーフ神殿4-2 戦闘終了後
ル・フェ明「……ふむ、大本の事情はわかった」
ニヴ貴「彼女たちの身の潔白、信じてくれたかな?」
ル・フェ明「信じよう。
 疑ってすまなかった」
アキラ「……いいわよ、別に。
 自分たちが変に目立つことぐらい、自覚してるから。
 けど、この腕輪は、渡すわけにはいかない」
ル・フェ明「聡明だな。
 しかし、頑固だ」
マキ美「そう言わないでよ、お兄さん。
 あなたも言ってたように、瀕死の女性が出会い頭に神器を託すなんておかしな話だと思う。
 ただの賊じゃないとは思うし……ううん、真相はこの子にとってはどうでもいいのよ。
 ただ遺言を授かった以上、それを守りたいってだけ、ね?」
アキラ「…………」
ル・フェ明「……ならば、私も命をかけて神器を返せと主張せねばならぬことになるな」
アルフリー信「ちょっ、冗談だろ!?」
ル・フェ明「冗談ではないが、今の私には無理な話だ。
 ならば、時が熟すのを待てばよい」
ニヴ貴「少なくとも、今すぐ返せとは言ってくれないってことか」
ル・フェ明「アキラ……と言ったな。
 主がその託された神器を我々に返してもよいと思った際は、すぐに知らせてほしい。
 丁重に預かることを、我が信仰にかけて誓う」
アキラ「……わ、わかった」
アルフリー信「……おーい、ちょっと、ル・フェ明。
 それってナニ、オイラたち、こいつらにこれからずっと付きまとうってこと?」
ル・フェ明「我等の使命は神器の探索。
 目標物を見つけたのならば、あとは穏便に得る機会を窺うだけだ」
アルフリー信「うわあ、マジで……?」
ゲイ子「ところでね、神官さんたち。
 あんたら、この神殿には何が祭られてるか知らない?」
ル・フェ明「恐らく、アキラ殿が持っているような神器だろう。
 ……先ほど主らが話していた、ノーヴァ教とやらと関わりがあるのか」
フレデリ知「関わりがあるのかどうかはわかりません。
 けど、彼らがこの神殿に入っていくのは、この目で見ました」
ル・フェ明「……双女神神官ならば道理が通るが、他教徒が入ったところで、まともな理由があるとは思えぬ」
ニヴ貴「同感。
 とっとと俺たちも入ったほうがよくない?
 扉を開ければそこは廃墟でした、なんて展開、正直ありがたくないし」
ル・フェ明「そうだな。
 ならば我等も入るとしよう……主たちも入るつもりか?」
マキ美「お付き合いできるなら、是非ともお願いしたいところだわ」
フレデリ知「……僕たちは、この奥にいる人たちと、話があるんです」
アルフリー信「……しかたねえなあ。
 お前ら、神殿で変な真似したら追っ払うからな」
シロ「しないっち!」
アルフリー信「……お前が一番信用ならねえよ……」


25/ドゥーフ神殿礼拝堂4-3
ゲイ子「うーん……。
 やっぱり財宝ってのはなさそうだねえ……」
アルフリー信「貧相で有名な双女神神殿が、財宝なんて隠し持ってるワケないだろ。
 大体、そんなこと知ってたらオイラが……」
ル・フェ明「アルフリー信」
アルフリー信「ひっ……!?
 じょ、冗談、冗談だよ。
 今まで育ててもらった恩義は忘れてないって!」
ル・フェ明「ならば良いが……」
?????「ふぅん、外の連中ももう倒したってワケ……。
 なかなか大したもんじゃない?」
マキ美「……あんたは」
フレデリ知「ヒュード羅さん……。
 お話しに来ました」
ヒュード羅「あらあらあら、こんにちは。
 裏切り者の役立たずのお坊ちゃん、どうかしたんでちゅか~?」
フレデリ知「……初めて会った頃と随分ご様子が違いますね。
 それが貴女の本性、ということですか?」
ヒュード羅「アタクシの本性はこんなもんじゃないわぁ。
 ちょっと見せるなら、そうだねえ……」
ビッ!
キュオ彦「フレデリ知!?」
フレデリ知「うぁっ!!」
ヒュード羅「あははははははは!
 可愛い悲鳴、いい声だねえ……。
 あんたみたいなガキが、そうやって這いつくばるのはたまらないねえ……。
 ついでに、もっと情けなくだらしない顔をしてくれればいいんだけどさぁ」
マキ美「……相変わらずその悪趣味は変わってないみたいね、ヒュード羅」
ヒュード羅「あんたみたいな綺麗事一辺倒よりは、高尚な趣味だよ。
 正義感溢れ、清く正しい世界が大好きな、クソ虫の使いっぱしりのマキ美さん」
マキ美「……本当に、よくよくあたしを理解なさってくれてて嬉しいわ。
 あなたも変わってないみたいで本当、嬉しい……。
 ノーヴァ教に入って、悔い改めるかと思ってたから、全然そんなことないみたい」
ヒュード羅「今までのアタクシの、どこに悔い改める必要があるって言うのさ?
 常に勝利をもぎ取ってきた、このアタクシの。
 どんな手を使っても、誰に何と言われようが、勝利は勝利だ、この世の強者だ。
 勝利こそが正義であり、即ち勝利を得る力こそが絶対正義……」
アルフリー信「卑怯モンが正義を語るなよ、胸糞わりぃ」
ル・フェ明「主の御託は聞くに耐えぬ。
 説教をしたくば、まずその邪気から清めるが良い」
ヒュード羅「おやおや……また抹香臭いのが出てきたねえ。
 まあいいさ、言うことを聞いたら、アタクシへの暴言は許してやるよ。
 お前らは双女神の神官だろう? とっとと神器をよこしな。
 ここに隠してある神器も、全部だ」
ル・フェ明「それならばまずあの娘に聞くがよい。
 しかし、双女神に仕えし立場から言うなれば……
 この神殿に眠る神器すら、主の手に触れさせるつもりはない」
アキラ「あたしも、お前にこれを譲るつもりはない。
 欲しいんなら、力ずくで奪うか、フレデリ知に謝ることね」
ヒュード羅「ふぅん……。
 ……けどまあ、殺して奪うほうが、アタクシの性に合ってるんでね……。
 ならばせいぜい足掻くんだね、カスども!」


26/ドゥーフ神殿礼拝堂4-3 戦闘終了後
マキ美「詰みよ、ヒュード羅」
ヒュード羅「はん、これで詰みだって?
 クソ甘ったるいにも程があるよ、マキ美」
アルフリー信「逃げるつもりか!?」
ヒュード羅「面白いこと抜かすね、クソチビ。
 アタクシは負けは認めない……故に常に勝ち続ける。
 アタクシがお前らを見逃してやるのさ」
ひゅ……カッ!
ニヴ貴「くっ、光が……!!」
ゲイ子「……閃光弾かい!?」
ヒュード羅「アタクシが手を下すまで、しっかり生きててほしいもんだね!
 それまでせいぜいあいつの駒として動きな!」
マキ美「まっ……待て、ヒュード羅!
 あいつって、一体……!」
アキラ「……もう……いない……?」
アルフリー信「あんのアマ……!
 近くにいるはずだろ、とっとと……」
ル・フェ明「深追いは止せ、アルフリー信」
アルフリー信「はぁ!?
 なにふざけたこと言ってんだよ。
 あいつ手負いだったし、今からでも……!」
ル・フェ明「奴は神器を持っておらぬ。
 ならば、神器の確保が先だ」
アルフリー信「……わかったよ。
 だったら、神器がある場所を探さないと……」
ニヴ貴「それなら、ここじゃないかな。
 この扉、変な形のくぼみがあるし……」
ル・フェ明「神器の封印は、そこな娘が持つ封印の神器のみにより解かれる」
シロ「つまり、アキラの持つ神器は鍵っち。
 というわけで、ヌシが解くっち。
 さあ、近付くっち!」
アキラ「と、解くって言われても……。
 くぼみと形が違うし……どうやって、って、ひゃっ、動いた!?」
キィイイイン……

ガコン!

アキラ「……これは、剣?」
ル・フェ明「……らしいが、神器と言うほど爆発的な力はないな。
 何らかの仕掛けか……はたまたこれ自体は何かの触媒か」
マキ美「これで無事は確認したことになるけど……あとはどうするの?
 また封印する?」
シロ「待つっち!
 そんなことをしたら、またさっきの連中に奪われるかもしれないっち!」
ゲイ子「奪われないだろ。
 鍵はアキラが持ってるんならさ」
ル・フェ明「いや……この事実があ奴らに知られてはまずい。
 その上、万が一にあの賊めが封印の神器を奪えば、それだけで全ての神器を獲られることになってしまう。
 そうなるよりも、封印の神器があるうちに、他の神器をより多く手元に置くべきだろうて」
アルフリー信「んじゃあ、一応これ、持ってかなきゃダメってことかよ。
 面倒くせえなあ……」
ル・フェ明「神器の探索と確保が我らの役目。
 なればアルフリー信……」
アルフリー信「わぁったよ!
 この調子で他の神器もどんどん集めときゃいいんだろ!」
アキラ「……ってことは、あたし、は……?」
ル・フェ明「できれば、我らの神器探索の旅に同行して貰いたい。
 封印の神器を手放さない限り、我々はお主と共にあらねばならない」
アルフリー信「感情を優先するからそうなんだよ。
 今から渡すってなら、話は早いけど?」
アキラ「…………。
 渡さないわよ。
 あんたみたいなガキに手渡したところで、すぐにあいつらに奪われるのがオチだもの」
アルフリー信「あんだと!?」
ル・フェ明「よせ、アルフリー信」
ゲイ子「……その辺のことは、また帰ってから決めることにしないかい?
 ここは話し込むのにいい場所じゃないよ」
ニヴ貴「賛成。
 日が暮れれば簡単には街に戻れそうにないしね」 


27/マスタッシュの森 帰路へ
アキラ「……二人は、これからどうするの?
 目標とか、帰る場所とか、あるんでしょ?」
フレデリ知「……一応、あるにはありますが。
 このまま、皆さんと同行しても構わないでしょうか」
アキラ「……別に、他のみんなは、どうせ気にしないだろうけど。
 いいの?」
キュオ彦「二人で話し合ったんだ。
 フレデリ知は、みんなに迷惑かけたことが負い目になっちゃってさ。
 自分が利用されたことも許せないけど、あいつらの目的を知って、ちゃんと自分なりに受け止めたいって。
 ボクは、フレデリ知の友だちだから、一緒にいるのは決まってるし!」
フレデリ知「……キュオ彦」
キュオ彦「それにね、ボクもアキラに感謝してるんだ。
 ボクが混乱してたとき、アキラ、必死になって説得するように言ってくれたから」
アキラ「それは……。
 あたしも、そういうのいやだから、必死だったのよ。
 友だち同士で、誤解したまま殺し合いとか、いいもんじゃないでしょ……」
キュオ彦「うん!
 だからそうならないようにしてくれたアキラに、すっごく感謝してる。
 けど、これで『ありがとう』って言ってお別れしたところで、感謝の気持ちが伝わるかどうかは分からないし。
 だからボク、今度はアキラの助けになりたいなあって」
アキラ「そう……」
キュオ彦「あ、フレデリ知、一緒にお礼言おうよ!」
フレデリ知「ああ、わかった」
キュオ彦「せーのっ」
キュオ彦&フレデリ知「ありがとう、アキラ(さん)」
アキラ「………………うん。
 こちらこそ、ありがとうね……」

シロ「礼を言われた割には浮かない顔っちね」
アキラ「……覗き見してたってわけ?
 悪趣味」
シロ「ヌシがそんな顔してなければ何も言わないでいたっち。
 何が引っかかってるっちか?」
アキラ「別に、どうでもいいでしょ、そんなこと」
シロ「親友なんて元の世界にいなかったとか、羨ましいとか、そういうことっちか?」
アキラ「……さあ」
シロ「見知らぬ世界で、見知らぬ仲間と生死をかけて戦うのがいやっちか?」
アキラ「……そりゃあね。
 できればこんなことには一切関わりなく生きたかったわよ」
シロ「本当に?
 絶対に?
 断言できるっちか?」
アキラ「……何が言いたいの」
シロ「ワシは全能の神ではないが、ヌシほどの年頃の思考ならば難なく想像できるっち。
 自分のやりたいことを知りたいし、自分のやれることを知りたいし、生の充実を得たいと思うっち。
 ……ヌシはこれからっち。
 流れのままに身を任せる自分を情けなく思うかもしれないが、同時にヌシは選択を余儀なくされているっち」
アキラ「言っている意味が分からない」
シロ「焦るのも迷うのもやめろと言ってるっち。
 帰りたい気持ちは察するが、まずは目の前の問題を片付けねば先へは進めないっち。
 今のヌシは森深い山のふもとで、山一つ越えた先の街を探してるようなもんっち。
 案内板があるならそれに頼るべきであって、自分なりに裏道を探すのは賢くないっちよ」
アキラ「………………。
 よくは分からないけど、そんな状態に置かれたら、あたしはきっと、裏道を探さずにはいれないでしょうね」
シロ「…………」 


28/リト 酒場
マキ美「……ヒュード羅……。
 今度は……逃がすもんか……!」
アキラ「マキ美……?
 そんな顔、するんだ……」
マキ美「……アキラ。
 あんた、いつからそこに……」
アキラ「あ、その……覗いてたつもりじゃないんだけど、嫌だったらごめん。
 あの女と知り合いみたいだから、その辺りの話を聞こうかな、と思ってたら……」
マキ美「いいわよ、気にしなくて。
 あたしも昔は色々あってね……ま、今言うようなことじゃないんだけど」
アキラ「年寄り臭い」
マキ美「へぇえ……。
 素敵なオネエサマを捕まえてそんなこと言う気?
 いい度胸じゃないアキラ、ちょっとこっちいらっしゃい」
アキラ「こ、断る!
 なんか目が据わってるし……」
マキ美「酔ってなんかないわよぉ。
 ただ、ちょっと小生意気な子におしおきしようと思ってね……」
アキラ「い、いやっ、ちょっと、その、失言は謝るっ!
 あやまりますっ!」
マキ美「ふふふふふ……。
 謝った程度であたしの堪忍袋の緒は回復しないわよぉお?」
 わきわきわき
アキラ「やっ、だめっ、ち、近付かないでってば!
 ……い、いやっ、や……」
…いやぁあああああ~…!
ニヴ貴「うん?
 さっきの悲鳴、誰の?」
マキ美「この子のだけど。
 聞こえちゃってたのねえ、アキラ。
 内緒でやってたつもりなんだけど」
アキラ「…………」しくしくしく
ニヴ貴「あんまりいじめちゃだめだよ、アキラは繊細なんだから」
マキ美「ふぅん……。
 よかったじゃない?
 あんたがその気にならなくても、しっかり女の子扱いしてもらえてるわよ」
アキラ「ひっひどっ!?
 さっきのスカート剥ぎと言い、あたしが一番傷つくことわざとやってるんでしょ!?」
マキ美「さあねえ?」
ニヴ貴「……そこまで怒るなんて珍しい。
 アキラ、何したのさ」
アキラ「それは……その……」
マキ美「それよりニヴ貴、酷いと思わない?
 あたし今さっき、ぴっちぴちの十代の子に、『年寄り臭い』って言われちゃったのよ……」
ニヴ貴「ははあ……そういうこと。
 確かにそれはアキラの失言としか言えないなぁ」
アキラ「う……。
 け、けど、今までの追っ手やあの訳の分からない連中のほかに、神器探しにもまきこまれたのよ……。
 そのくらい、見逃してくれたって……」
ニヴ貴「まきこまれたなんて考えるからだよ。
 ちょっとくらい楽しめばいいのに」
アキラ「……他人事だと思って」
ニヴ貴「どこが?
 俺は双女神神官で、アキラが持ってるそれは双女神神殿の封印の神器だろ?
 ちゃんと関係あるよ。
 それに、正体不明の追っ手からの逃避行より、神器探しの旅のほうが、よっぽど明確な意識を持ってると思うけど」
アキラ「…………け、けど。
 それで楽しめるかどうかは、個人の問題でしょ。
 あたしはそんなの、楽しめそうにない」
ニヴ貴「……そっか、なら無理しなくてもいいよ。
 けど、そんなに悪い方向に考えないでほしいな。
 そんな調子じゃ万事、悪い方向に行っちゃうし、体調も壊しやすくなる」
アキラ「わかったけど……。
 無理には楽しもうとかは、思わないからね」
ニヴ貴「うん、上出来」



29/住宅街
アルフリー信「どうやったらこんなちんまい体で人間の声出せるんだ?
 なール・フェ明ー。
 こいつの体ん中、どうなってるか知りたくない?」
シロ「あががががががが!
 ゆ、指が……て、手を放すっち……!」
ル・フェ明「知りたいとは思わん、解放して差し上げろ」
アルフリー信「えーこんな怪しいのに……。
 わかったよ」
シロ「……し、死ぬかと思ったっち……」
ル・フェ明「この通り、礼儀のなっておらん子どもで申し訳ない」
シロ「い、いやいや!?
 ル・フェ明殿が謝られることはないっちよ!?」
アキラ「ゲホゲホ言いながら取り繕っても無理でしょ……」
ル・フェ明「しかし、かと言ってシロ殿を完全に信頼しているかと言われれば否なのだ。
 有名とは言えぬ双女神神殿に向かっていたこと、神器を探していたこと、神器を知っていること……。
 これらの疑問に答えていただければ、場合によっては信頼しよう。
 しかし、単純に答えていただけるとは思えぬ」
シロ「ふむう、賢明にして真摯な対応、感謝するっち」
アキラ「だったら、あたしのほうこそ怪しいんじゃないの。
 得体の知れない異界の魂が、あんたたちの大切な神器を肌身離さず持ってるわけなんだから」
ル・フェ明「否、主は主らの中では最も信頼に足る人物」
アルフリー信「ま、他の連中のがうさんくさいしな~」
ル・フェ明「そういう意味ではないが……。
 異界の魂とは今まで数多く召喚されてきたと聞く。
 その大半が特殊な力を持ち、絶大な力を振るったとは言われるが、
 彼らは総じて望んでこの世界に来たわけではないとも聞く。
 そしてアキラ殿、主は異界の魂の力を備えていないとも聞く」
アキラ「…………っ」
ル・フェ明「ならば、ただ巻き込まれただけと私は考える。
 以前から主張していた神器への執着も、ただ命がけで渡されたことに対する感情一点のみ……。
 神器が持つ能力への執着は薄い、否それどころか何も知らぬと考えるべきだろうて」
アキラ「……この神器の力を知ってたらどうするの。
 これがあたしが元の世界に戻るための鍵なら、これに執着しても当然でしょう?
 それに、あたしはみんなには優しくしてもらってるけど、この世界の住人に完璧に心を許したわけじゃない。
 …………この世界ごと、憎んでいても、不思議じゃない」
アルフリー信「…………てめえ」
ル・フェ明「そう、実に自然な感情だ。
 主がそれを使って世界を滅ぼす気になれば、私は止められぬかもしれん」
アルフリー信「ル・フェ明!?」
ル・フェ明「しかし、その結果への抵抗くらいはさせて貰うとも。
 私は神に仕える身。
 身近にいる人間がそのような危うい考えを持っておると言うのに救おうとせず、防ごうとせぬのなら、それこそ我が大罪に値する。
 主がその目標に向けて情熱を燃やすと言えば、私もその阻止に向けて対抗しよう。
 無論、我が命をかけて」
アキラ「…………」
アルフリー信「ル・フェ明、とっとと行こう。
 こんな奴と話してたら、重苦しすぎて息できないって」
ル・フェ明「主はもう少し慣れよ。
 ……では失礼する、アキラ殿」
アキラ「…………」


30/大いなる頂き
キュオ彦「こんにちは、アキラ!」
シロ「散歩っちか?」
フレデリ知「仲間にしてもらったことの報告と挨拶を兼ねて、ニヴ貴さんや他の神官さんたちを探してるんです。
 あなたたちは?」
アキラ「散歩みたいなもの。
 ……けどここにいる連中は放任主義の集まりみたいなものだから。
 わざわざ挨拶する必要なんてないんじゃない」
フレデリ知「けど、一応区切りだし……」
キュオ彦「フレデリ知はそういうとこきちんとしなきゃ気が済まないタイプなんだよね」
アキラ「いやその、そういう態度は否定はしないけど……。
 気にしない連中のほうが多いからってことで」
フレデリ知「はい……。
 あ、アキラさん」
アキラ「なに?」
フレデリ知「あのときは、本当にありがとうございました」
アキラ「あのとき?」
キュオ彦「ボクに説得しろって言ってくれたとき」
フレデリ知「それから、まず最初に僕を仲間として迎え入れてくれたのは、アキラさんでしたから」
アキラ「……それは、もうあの場所で全部済んだはずでしょ。
 そういうのは、いつまでも持ち出す話じゃないと思うけど」
フレデリ知「けど、こうやってキュオ彦と普通に喋っていると、本当にそれを実感するんです。
 あのときアキラさんがキュオ彦の目を覚ませてもらわなかったら、今頃どうなっていたのか……」
キュオ彦「…………」
アキラ「仮定の話は、もう止めて?
 あたしも、そういうの引きずられちゃうタイプだから……」
フレデリ知「あ、すみません……」
シロ「あんまり気にするなっち。
 単にアキラは照れてるだけだっち」
キュオ彦「そうなの?
 アキラってば照れ屋さん?」
アキラ「照れてないっ!
 シロも、そんな場を引っ掻き回すようなこと言わないっ!」
シロ「ワシが言ったのは事実だっち~♪」
アキラ「こんの…………!
 いつまでもそんなこと言ってたら、ぶった切って鍋でドロドロになるまで煮込み尽くすわよ!」
シロ「ヒィイッ!
 動物虐待っち!
 フレデリ知、助けるっちー!」
フレデリ知「ふふっ……」
キュオ彦「あはははっ……」
シロ「二人とも、笑ってないで早く助けてほしいっち~!」

 

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