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くだらないことを糞真面目にかつだらだらと
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暗い城に赤い薔薇-3
2006/05/05 (Fri)
パロ連載
「いってらっしゃいませ」
「呼び出しが来たら遠慮なくお願いね」
「はい」
慎ましい侍女二人に見送られる彼女の態度は、なかなか様になっていた。そのやり取りだけならば、どこの令嬢だと思わんばかりの堂々たる態度だが、生憎アシュレイにはそうは見えない。腰が据わっているように見えながら、その言動は彼女の無気力さを表しているように受け止めた。
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暗い城に赤い薔薇-2
2006/05/05 (Fri)
パロ連載
ため息を吐きたいのは、任務を受けたアシュレイとて同じだった。
客人はあの娘に違いあるまい。何せ、わざわざ自分に向かない案内を任命してくるということは、その客人とやらと顔見知りである可能性を考慮してのことだろう。彼女と顔を合わせたもう一人の魔族、レデュールは自分以上にそういったものに向いていないし、その判断は客観的には無難な判断であろう。
しかし、彼はあの娘が苦手だし、あの娘とて自分に対しいい感情を抱いていないことぐらいは容易く見抜けた。そのため、この任務は受けた瞬間からいい方向にいくとは思えない。だが、魔王からの命令を拒否するわけにもいかず、また受けた以上は遂行すべきという考えのアシュレイには、このまま任務をなかったことにするような考えは始めからなかった。
足取り重く、魔王の客人であり、あの奇妙な価値観の娘がいるはずの部屋に向かう。そこは緋扇の部屋、と名づけられているらしいが、彼はそんなところに行ったこともなければ見たこともない。必要がないからだ。
だからこそ、案内すべきルートにざっと書かれた施設や広間の名前を見ると、アシュレイはますます足の重みを感じずにはいられなかった。名前でも分かるほど豪華そうな場所など、彼は興味がないし、解説するだけの知識などないも同然である。そんな暇のありそうな、五魔将の一人直属の女性部下にでも任せばいいものをと、何度目かの反論を心の中で叫ぶ。
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暗い城に赤い薔薇-1
2006/05/05 (Fri)
パロ連載
彼の日常には寸文の狂いもない。
魔王城に士官する中でも上位を意味する個室で起床し、そのまま身支度をしてから鍛錬場に向かい、軽く汗を流す。侍女たちのように、一日中仕えるべき相手がいない男であり、同時に彼は特殊な職に就いているため、他者から見ればかなり優雅なものだった。
空腹になったところで朝食を摂り、それから仕事が始まる。とはいっても彼の仕事は常に役割があるわけでもなく、上司に顔を見せる以降は大抵、何をしても自由だった。とはいっても遊び惚けていいわけではない。魔王軍の新鋭として相応しい実力を持つこと、それだけが彼らに求められていた。
言葉にすれば簡単だが、当然ながらその求められるレベルの高さは、魔族の中でもまだ若い彼らには厳しいものだった。それを知ったと同時に、短い盛りの時期と悟って鍛錬を適当に誤魔化す者もいれば、自分の長所のみをひたすら磨いていく者もいる。
そして彼はその真面目な性格から、自分の能力を平均的に上げることを目標としていた。つまり、交渉術を磨き、知識を増やし、教養を身につけ、剣技を磨くことを、一日の内に少しずつ行っていたわけである。
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