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いまさら:Minoritenとこの


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いまさら

 某絵師とうだうだ話してたらいつの間にかジャドウさんのアホ毛トークになっていましたお久しぶりです管理人です。その某絵師からのリクでSSSじゃゆき(多分未満)です。
 確かに中村版ジャドウさんのアホ毛は随分しっかりしてて、反面平野版も岩崎版も自然にアホ毛が描かれていて、某絵師は中村さん派だからまあ仕方ないのかなと思いもしたり。しかしアホ毛で言うなら平野版くらいの自然さがいいんじゃないのかしららら。

 そういや中村さんがついに乙女いとに行った上、乙女ゲー雑誌で長いことインタビュー受けてましたね…。ギギギあんな長いことページ割くとか昨今のネバランではねえよ畜生。
 あと中村さんの乙女ゲーの画集が先に出てネバランの画集はずっと先送りとかないよねIF?
 さすがにそれやったら許されざるよ?
 いつもより深く眠ったのだろうか。それとも眠りは浅かったのだろうか。
 ふと意識が覚醒しそのままの流れで目も覚ますと、彼女は見慣れた天蓋をまず視界に収めた。ここを自らの寝室とさせられたとき、なかなか寝つけなくて何時間とこの光景を見たものだ。
 その思い出も懐かしくなっている我が身に僅かな傲慢さを感じながら、彼女はゆっくりとブランケットの中に潜り込み、自分の体を確認する。異常がないかどうか、――より正確に言えば、昨晩の悪夢は現実にまで影響していたのかどうかを。
 そして彼女は知る。自分が裸で寝ていたことを。寝間着すら着ることもなく、意識を失ってしまっていたことを。
「…………やっぱり」
 重く長い吐息と共に、ぽつりと呟く。そのまま膝を抱え込み、寝台の上ではあ、と今度は短く一息分を吐き出す。
 そのまま案外に冷静な目で股の付け根を見るが、血は付着していない。膝を抱えた手を解き、ブランケットを捲ってシーツに血らしい染みがあるかを見るが、こちらもない。破瓜の血は流れるほどの量はないと聞いたから、その点はまだ幸運かもしれない。
 けれど、それでも。
「……っ」
 腰を動かすと、それだけで鈍い痛みが手に届かない箇所に走る。同時に今まで感じたこともないような疲労感もまだ節々に残っていて、喉の奥も大声を出しすぎたようにかすれていた。
 窓から差し込む朝日に自らの裸体をさらしても、不思議な痣は見つからない。けれど、ひりひりと痛む箇所はあちらこちらにある。そう、どこにも『彼』は証拠を残していないけれど、彼女の身体そのものが、昨晩の事件を現実であると告げていた。
「…………」
 それを実感すると、彼女の目尻に自然涙が浮かび上がる。声を出して泣きたい気持ちもなくはないが、けれど頭の冷静な部分がそれはいけないと首を振り、だから彼女は寝間着を探して下着と一緒にそれを着込む。暫くすれば起こしに来るであろう、侍女たちの目を欺くために。
 諸肌が隠れ、衣服を着た感触を得ると、彼女の頭は少しは安心したのだろう。声を漏らして泣くほどの感情は沸かず、ただ自分の顔から静かに流れる涙と鼻水を拭うだけの作業に追われた。
 動作はそうでもないかもしれないが、彼女の心の中はいまだに漠然と混乱していた。悲しさと悔しさと憤りと不安が入り交じり、全てを投げ出したい気持ちに駆られる反面、そうなるのは嫌だと強く思う気持ちもある。けれど解決策が見いだせないから、これからは何も考えたくない、何も感じたくないと願いもする。
 思考の矛盾は、落ち着こう冷静になろうと思ってもすぐさまそうなるわけではない。小一時間ほどただひたすらに泣く作業に没頭した彼女は、今度は泣きすぎて痛くなってきた頭を自分の手で冷やしながら、ふうと息を吐く。
 そして、混乱より痛みの方が強くなってきた頭で考える。――どうしてこうなったのだろう、と。
 まず昨晩、彼女はとある男と顔を合わせた。いみじくも一国の女王である彼女の寝室に、無断で現れたその男は下手人の類ではなく、もともと彼女と知り合いだった。とは言っても、二人は愛を囁き合う仲ではない。彼と彼女は利用する者とされる者であり、同時にそれを強要する者と抗う者でもあった。
 だが彼女は最初から、男に抵抗していたわけではない。動乱のこの世界に呼び出された当初は、右も左もわからなくてただただ自分を呼び出した張本人である男の指示に従っているしかできなかった。
 それが年月を重ね、彼女自身の知識と価値観がこの世界のそれと馴染んでいくことで、彼女に一国の王として、またこの世界の変化を担う者としての自覚が生まれた。それから次第に、彼女は男の言動に疑問を持ち始めた。
 なぜ彼はそこまで人を憎むのか。なぜ彼はそこまで誰も信用しようとしないのか。なぜ彼は、そこまで血で血を洗うような戦いを求め続けるのか。
 そうして彼女は、次第に男を怖がらなくなった。恐怖の代わりに強い疑問を抱き、戸惑いの代わりに模索が始まり、そして彼の思考に影響されないため、何をどう語られても客観性を保つ必要があった。つまり彼女は自らの思考と言葉に、肩書きや環境からではなく、自己満足のために自信を持たねばならなくなった。
 男がそのような変化を遂げた彼女に対し、どんな感情を抱いたのかは知らない。知ろうと思えば知れたのだろうが、苛めを受けた過去がある彼女にとって、自分の言動を内心でも拒絶される可能性には触れたくなかった。
「……特に、彼、には?」
 声に出して呟くと、彼女はなぜだか居心地が悪い気分になって、思わず首を振る。
 そんなことはどうでもいい。どうして昨晩、あのような出来事が起こってしまったのか。それを順序立てて探ろうとしているはずなのに、彼に拒絶されたくなかったなんて思うのだ。
 彼女は思考を切り替えると、それ以降を思い出す。正体不明の居心地の悪さは、いまだはっきり胸の奥に残っていたが。
 当初彼は、執務室で自分の言動に非難ではなく疑問を投げかけてきた彼女に、不可解そうな顔をしていた。平静で機転が利く彼が暫く呆然としていたのを見たのは、彼女にとってあれが初めてだった。
 しかし彼はその場の彼女の問いには答えず、書類をその机に放り投げることでその意思を示した。その反応に、彼女は納得と怒りと安堵を覚えたものだ。彼が回答を否定することは彼の性格を考えれば納得できるし、勇気を振り絞った自分の質問が無視されたのは悔しいし、彼の否定表現が物騒ではなかったことは救いだった。
 けれど、否だからこそ、彼女は諦めなかった。別の言い方をすれば吹っ切れた。話しかける機会があればそれを逃さず、辛抱強くしかしなるべく自然に、自分の考えをまず先に披露して、彼の考えを求め続けた。彼が何をどう感じ、そう感じる理由を問い続けた。
 彼女の熱心な態度を、彼はどう受け止めたのかはわからない。気味悪がったのかもしれないし、適当に相手をしてやれば大人しくなると合理的に悟ったのかもしれない。結果としてはごく稀に、言葉数は少ないものの、彼は彼女の問いに答えてくれるようになった。そのとき彼女は、初めての努力が報われた気がして、とても――。
「嬉し、かった」
 その通りだった。生まれてこの方、怖くて危険だと思ったひとを、理解したいと思ったのは初めてで、そうでなくてもここまで自分が他者に執着し、気を配って話しかけるのは初めてで、だから彼が答えてくれたこと自体がとてもとても嬉しくて、その声がどんな言葉を紡ぎ、そもそも自分のどんな質問に答えてくれたものであるかも、今ははっきり覚えていなかった。ただ問いかけに答えてくれたことだけで、彼が破壊と狂気のひとでないことの証と思えて、それが救いのようにさえ感じた。
 だが彼女はそれだけでは満足しない。更に彼の思考を知りたい欲求は募っていった。彼の機嫌を損ねないよう、彼の心の奥底に眠る痛ましい記憶を引きずり出さないよう、丁寧に少しずつ、その心を彼自身の言葉で形作ってもらいたかった。
 それから彼女は、夢中になってその作業に没頭した。まるで子どもが初めて知った遊びに熱中するように、暇があればそのことばかり考えて――当然、仕事はきちんとやらなければ、それを理由に彼に答えてもらえなくなるのでその点の努力は怠らない――、その努力が実ったのか、彼が自らを語る言葉はいつしか次第に増えてきて、彼女はそれを聞いて理解しようとしている間に最も充実感を味わえた。
 しかしそれも、不意に終わりが訪れる。
 彼女が彼の心の最奥に、いまだ踏み込んでもいない頃。踏み込む前だからだろうか。まるで冷酷で狂気めいていた自分を思い出したように、彼は彼女の問いかけに拒絶と無視を始めた。途端、彼女の充実した日々の色彩が暗く霞む。
 だが彼女の心は、初めて内政に関係のない質問を彼に投げかけ、無残にもそれを無視されたときと同じではない。自信と冷静さを我が物にしていた彼女は、急に態度を変えた彼に問いかけた。その理由について、その心境について。あのときと同じように、根気強く。
 彼はしかし当時と違って、何の感情も映さない目を彼女に向けて、薄らと笑む。そんなことは不要だと、懐柔しようとしていたのかとせせら笑いさえ浮かべて彼女を拒絶した。
 けれど当然彼女にそんな気はない。急に初めて出会った頃のようになった彼に、彼女は戸惑い思考を巡らす。
「……あ」
 そんな彼女をどう見たのか。
 彼はますます冷たく笑い、今度は俺の頭の中を覗く気かと尋ねた。自分を懐柔したくば、その方法を取った方が早かろうに、とも。
「……ああ……」
 彼女はそれを否定した。
 懐柔したくてあなたに話しかけたのではない、と。ただ知りたいから、あなたのことを知りたいから。初めて誰かの心を知りたいと思ったから、あなたの言葉であなたを知りたかったと正直に答えた。
「…………や」
 それを聞いて、彼は怪訝な顔をする。誰か――赤毛の女性を、思い浮かべて。
「いや……」
 誰を思い浮かべたのと、彼女は反射的に問いかけてしまう。その言葉に、やはりそのつもりかと彼は獰猛に、けれどなんだか酷く傷ついたように笑って。
「……いやぁあぁあっっ!!」
 組み敷かれた。強引に。彼女の部屋で、けれど悲鳴さえ上げられず、助けさえ求めさせられず。
 そうして彼女の純潔は、不本意に奪われた。
 痛みと混乱と恐怖を切れ切れに漏らす彼女の声を聞いて、彼の声は随分と楽しそうで、しかしどこか別の感情を押し殺すようにも聞こえた。彼女は自分がどんな姿勢でいるのかわからない状況のまま、まるで彼の心に感化されたように泣きたくなった。否もしかしたら、あのときから既に泣いていたのかもしれない。
 そして今。知りたかったひとに誤解され、彼からすれば当然の報いを受けた彼女は、どうしようもなくなった自らの顔を、手で覆うことしかできなかった。
「あ、あ、あ……」
 起きたばかりの頃の冷静さはもう既に消えて、今度は怒濤のように涙が溢れる。
 ああそうだ。今思い起こせばこんなにも明確だった。彼女は、自分は彼を――。
「どう、して……! どうしてこんな、そんな……!」
 慟哭が、明るく静かな寝室に広がる。けれど扉の向こうの誰にも、その叫びは届かない。
「あの、とき、っ、わたし、……ぁあんなに……!」
 彼に拒絶されたくないと、思っていた理由は今となっては明確で。けれど彼の心を知りたいと、そのために話術を磨きたいと必死だった理由も明確で。問いかけに応じてもらったときの嬉しさは、ときめきとも言えたのに。
「あ、ああ、ぁああああああ……っ!!」
 彼女は泣く。声の限りに泣く。誰に見られても構わないし気にしない。どうせ誰に見られたって、彼とあのときすれ違ってしまったことよりも、辛い気持ちになりはしない。けれどあのとき、彼女は自分の気持ちに無自覚で、誰かの裏切りを恐れる心もわかっていなかった。それが彼女には許し難くて、何より酷く悲しい。理解しようとしていたのにそんなことにさえ気付かない自分が、そのくせに彼を理解していると自惚れていた自分が、愚かしくて仕方なかった。
 好きなひとにこんな仕打ちを受けたのは、そのひとが好きだと気付かなかったせいだから。だからこれは罰なのだと、彼女は泣きながら冷静な頭のどこかで思う。
 そのまま嫌ってしまえばいいのに、今更自覚したせいでいまだ彼を好きな自分に嫌悪感を抱きながら、彼女はただただ慟哭した。
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