メイミー「ふう…
スノーさま、お部屋に着きましたから、もう大丈夫ですよ」
スノー「………」
メイミー「スノーさま…？」
スノー「あ、そにょ…っ
ご、ごめんにゃさい、わたしまたにゃ行が言えにゃ…!?
ああっ、また…！」
メイミー「す、スノーさま落ち着いてください！
大丈夫ですってば、ここはスノーさまのお部屋だし…！」
スノー「…は、はい…。
大丈夫、だいじょうぶ…」すーはーすーはー…
メイミー(本当に混乱していらっしゃる…。
よほどこんな格好になってしまったのがショックだったのね。
それはそうよね、恋人に隠して変なものを飲まされて…その上自分でも分からず変身しちゃって…)
シーグライド「………。
私は、元に戻ってもよろしいのでしょうか」
メイミー「へっ？
あ、いえ、だめです！
…そうだわ、お父様に聞き忘れてた…ここの警備はグラウスでいいのかしら…。
けどグラウスはあの中じゃ外部者だし…、けど私の部下でもあるし…とりあえず私は再び父か陛下に指示を仰ぎに行きますから、貴方はこのままスノーさまの警護をお願いします！」
シーグライド「……は」
スノー「め、メイミー…」
メイミー「スノーさま、すぐに戻ってきますから！
それまでは心細いかもしれませんけど、とにかく、その、頑張ってください」
スノー「は、はい、わかりました…！」
ぱたぱたぱたぱたぱた…
スノー「………」
シーグライド「………」
スノー「……………」
シーグライド「………」
スノー「………」
シーグライド「………」
スノー「………」
シーグライド「………」
スノー「あ、あにょ…！」
シーグライド「は？」
スノー「いえ、そっ、…えーと、すみませんけど、後ろを向いてもらえませんか？」
シーグライド「？」
スノー「…着替えたいんですけど」
シーグライド「あ、ああ……。
すま…失礼しました」
スノー「………」するり…
シーグライド「………」
スノー「…すみませんでした」
シーグライド「何が…」
スノー「み…ここの方たちには、できるだけ迷惑をかけにゃいようにしようと、思っていたんです。
けど、こういうことが起きてしまって…」
シーグライド「………。
我々は陛下の手足たるべしとして生きています。
陛下のお役に立てるのであれば、たとえどのような任務でも喜んで承ります」
スノー「…すみません」
シーグライド「…何を」
スノー「……人間、苦手みたいにゃのに…」
シーグライド「…別に、苦手と言う訳ではありません。
嫌いなだけです」
スノー「……そうですか」
シーグライド「………」
スノー「………」
シーグライド「…正直に言えば」
スノー「？」
シーグライド「陛下が人間を城内にお連れになったと知ったときは、すぐにその人間は持たぬだろうと思いました。
自分以上に人間を嫌う者はいますし、何より五魔将の方々のどなたかが、隙を突いて殺すなり何なりするだろう、と」
スノー「………」
シーグライド「しかし、その人間は今もなお生きている。
この調子であれば、ヒロ様の母である人間以上にこの城に長居することでしょう」
スノー「…殺しますか？
今、わたしを」
シーグライド「まさか。
それでは陛下のご意思に逆らうことになる。
陛下への忠誠を誓う我が身にとって、それは親への反抗よりも度し難い」
スノー「………」
シーグライド「……今の私は何もしません。
しかし、貴女には覚えていてほしい。
陛下へのご寵愛を一身に受けているからこそ、貴女の地位は安泰なのだ、ということを」
スノー「………。
わかっています、そんにゃこと」
シーグライド「…そん…？」
スノー「…けれどあにゃたは勘違いをしています。
わたしはジャドウに無理やり連れて来られた訳ではありません。
ジャドウがわたしに安泰を約束した訳でもありません。
…わたしがジャドウにょ傍にいて、自分に襲いかかってくる不幸を恐れたこともありません」
シーグライド「………」
スノー「あにゃたがわたしをジャドウにょ愛妾として見ているにょにゃら言いましょう。
殺す気にゃらば全力で来てください。
あにゃたがわたしを廃する気であれば、わたしもそれに全力を掲げ抵抗しましょう」
シーグライド「………。
その、言葉はともかくその意思は、忘れないように致しましょう。
陛下がお認めになった人間の女ならば、それくらいの気概を持っていなければ困りますし、それに…」
スノー「…それに？」
シーグライド「貴女は確かに、陛下がお認めになるくらいのきりょっ…
いや、………それはともかく！」
スノー「！？」 びくっ
シーグライド「ええい、メイミー様は何をしておられるのだ！
そもそもメイミー様の従者はどこに行った！？
私とて暇ではないというのに…！
あっ、貴女の侍女か従者は、いないのですか！」
スノー「じ、時間ににゃらにゃいと侍女たちは来ません…。
警備は骸骨兵が一応…」
シーグライド「が、骸骨など、私程度でも蹴散らせる！
そんなもので万全の対策を取ったつもりなのか…！」
スノー「夜ににゃるとジャドウが来ますし…。
あ、あとわたしもまあ六百くらいにゃんとかにゃりますから…」
シーグライド「……ろっ？」
スノー「六百」
シーグライド「………何に対してです？
そもそも、どういう意味で…」
スノー「骸骨兵六百に対してわたし一人で」
シーグライド「………………。
そ、それならばまあ、確かに…」
メイミー「お待たせしましたっ、スノーさま！」
どばん！スノー「メイミー！」
メイミー「すみませんスノーさま、色々準備するのに手間取っちゃって…！
もう大丈夫ですからね。
元に戻る方法が分かるまで、できる限りお傍にいますから安心してください」
スノー「そんな…メイミーがそこまでしなくても…」
メイミー「私がスノーさまのお役に立てるんでしたら、何でもしますもの。
…やだ、ああもう、泣かないでくださいスノーさま…。
あ、けど、陛下が来たときには私、お邪魔になっちゃうのかしら」
スノー「も、もう、そんにゃことに気を使わにゃくてもいいから…！」
メイミー「ふふっ、照れてるスノーさまって可愛い…。
今のスノーさまは表情豊かだから、もう少しのんびり探してもらったほうがいいかもしれませんね」
スノー「メーイーミー！」
メイミー「冗談ですっ、冗談ですってば！
…あ、護衛さん、今までお疲れ様でした。
もう帰ってもらっても構いませんよ」
シーグライド「………」
メイミー「あのー、護衛さん？」
シーグライド「はっ、ははっ！？」
メイミー「もう帰ってらって構いませんよ？」
シーグライド「はっ。
で、では失礼致します！」
スノー「あ、ありがとうございました」
シーグライド「はっ」
ギィ、バタン！
シーグライド「………」
グラウス「…？
ああ、陛下の護衛の……」
シーグライド「っ！
し、失礼する！」
カツコツカツカツカツカツ…
グラウス「はあ…」
スノー「…それで、どうでした？」
ジャドウ「もう一度宝物庫を探らせてみたが、やはり無意味に終わった。
あの怪しい…ユーセとか言う商人に持ちかけて、高額で買い取るように言いつけたが…
それもいつになるか検討もつかん………」
スノー「………」
ジャドウ「どうした。
労いの言葉の一つもないのか」
スノー「わたしがこうにゃった原因が、にゃにを言っても無駄です」
ジャドウ「………」
スノー「？」
ジャドウ「…迫力が無いな」
スノー「っっ！
それはジャドウにょせいです！
わたしだってこんにゃ、恥ずかしい格好いつまでもしたくありません！」
ジャドウ「何を言っているか分からん。
…まあ見慣れてみればなかなか似合うぞ、その耳と尻尾」
スノー「嬉しくありません！」
ジャドウ「そう怒るな」そ…
スノー「勝手に触らにゃい！」
ドシュウン！
ジャドウ「……………」
スノー「……………」ふーっ！ ふーっ！
ジャドウ「今のはあれか。
ラ・デルフェスの縮小版か」
スノー「…」こくり
ジャドウ「ほうほう……」
キゅばっ
スノー「！？」
ジャドウ「まあ俺の責任である以上、お前が怒るのも仕方あるまい」触手口の中に突っ込み＋両手拘束
スノー「むーっむーうーうー！」じたばたむがはが
ジャドウ「故に多少はこちらも心苦しいというか、まあ反省はしている。
だが俺は自分の落ち度を認めることと、生理現象を抑えることは全く繋がりのないものであると思っているため…」
スノー「むぅううう！
うーうー！」じたじたばたばた
ジャドウ「お前がいくら否定しようがすることは同じだ」
スノー「うーうー、ううううううう！」
ジャドウ「あー…噛むな、ついでに蹴るな。
大体貴様、その姿になってから俺に野性味を見せすぎだぞ。
もう少し大人しくなれ、貴様が拘る雰囲気も出んぞその調子では」ごそごそ
スノー「うーうっ、うぅうううっっ、うー！！」
～翌日～
ザラック「………陛下」
ジャドウ「何だ」
ザラック「いつから陛下は顔にできた傷を見せびらかすような趣向をお持ちになったので？」
ジャドウ「忘れた」
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