ゼロス「ま、これで大体全部終わったろ」
スノー「そうですね……。
それでは、わたしたちは…」
ジャドウ「もう一つ用件がある」
スノー「はい?」
ゼロス「あん?」
ジャドウ「ワルアンス城にいるとある人物との会合を望む」
スノー「!?」
ジャドウ「これは依頼と言ってもいいか……。
もとより貴様らに期待などしていないが、ものの序でだ。
この依頼を断わったところで、八つ裂きにはせんから安心しろ」
ゼロス「はぁ?
テメエ、言ってくれるじゃねえか」
スノー「やめて下さい、ゼロス。
……ジャドウ……それは……」
ジャドウ「返事はスノーに直接言え。
スノー、お前はそれでいいな?」
スノー「……………。
はい……」
グェン「ワルアンス城?
ワルアンスって言うと、元帝国の首都か?」
リディア「今の共和国の首都はガレーナにあるんだよね。
って言っても、共和国議事堂があるだけだけど」
アデル「そうね。
共和国が出来たとは言っても、ヘルハンプールもゴルデンも、もともとあった国色が強すぎて、新しい国の首都としては向いていなかった。
だから、元帝国領には魔族の執政官が、元皇国領には人間の執政官たちが住み、お互いの国色の中和作業を行っているんだけど……」
ナイヅ「単純に考えると、彼らは高位魔族の誰かに会うためと考えられるな」
アル「だったら、なんか物騒なことでも起こすつもりじゃないのか?
ほら、あいつ、……その、魔王がいるだろ?」
リーザ「可能性で語るなら危険視しても当然ね。
けど、私には今もそんな熱意があるようには思えないわ」
アデル「ええ。
それに、あたしたちは仲間なんだもの。
その願いにどんな裏があっても、仲間である以上は信頼すべきだわ」
ゼロス「で、なんで俺らがンなとこまで行かなきゃなんねえんだ?」
グェン「まあまあ兄さん。
アデルの台詞じゃないが、あの二人は短い間でも仲間だったんだ。
眠ってもらうには、その恩を返してからでも遅くはないだろ」
アリア「ワタシは、あの方たちには特に感謝してもしきれませんし、できれば叶えて差し上げたいと思います」
リーザ「それに、あの人たちに一番恩があるのはゼロスだものね。
生き返らせてもらった恩と見合うかはわからないけど、一応努力はしてみたらどうかしら?」
ゼロス「チッ…面倒くせえ」
グェン「兄さん、やっぱり断るのか?」
ゼロス「はん、あんな依頼、俺にかかりゃ屁でもねえよ。
アリア、知らせにいっとけ」
アリア「はいっ」
スノー「そうですか…明日……」
アリア「あの、……やっぱり、迷惑だったんでしょうか?」
スノー「そんなことはないの。
あのひとが言い出したけれど、本当はわたしのほうが強く望んでいることだから…」
リディア「それじゃ、物騒なことじゃないんですね。
よかった~世界征服の片棒担ぐなんてことになっちゃったらどうしようかと思った」
アデル「ちょっと、リディア!
失礼なこと言わないの!」
スノー「ふふ…そう言われると思ったわ。
けど大丈夫、あのひとは弱いものいじめに飽きてるから。
それに……」
アリア「それに?」
スノー「……あのひとも、会いたいと思ってくれているのなら。
それだけでわたしは嬉しいの。
たとえ、一目見ることさえできなくても、それだけで……」
アリア「………」
アデル「絶対に、会わせてみせますから。
安心してください」
スノー「ありがとう」
スノー「……ジャドウ。
皆さんが、手伝ってくれるそうです」
ジャドウ「そうか」
スノー「………ジャドウ」
ジャドウ「何だ」
スノー「……なんであんなこと言うんですか」
ジャドウ「お前が現在望んでいるのはそれだろう?
お前がこの世界に執着し、冥界から目覚めたのも奴らに手を貸したのも、全てあれが原因だ。
尤も、今回の件など、あれの耳には入らんだろうが」
スノー「……それでいいんです。
何も知らないままでいれば、何事もなかったかのようになっていれば……!」
ジャドウ「しかし、それではお前が救われまい」
スノー「そんなことはどうだって……!」
ジャドウ「いいはずはない。
お前を最も知っている俺が言うのだから」
スノー「……………」
ジャドウ「スノー」
スノー「………………ばか」
ジャドウ「………」
スノー「…ジャドウのばか。
……急に優しくなるなんて、卑怯じゃないですか……」
ジャドウ「……そうか」
※共和国設定は捏造
※目的を隠す気なんて管理人さんにはさらさらありません
※ジャドウさんがスノーたまに優しくしよう週間が続いている気がしないでもない
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