好きに決まってるじゃないか/
スノー「ぶっきらぼうで、人当たりが悪くて、怖そうに見えて近寄りがたいけれど、実際考えてることは思った以上に幼稚っぽいヒト…」
ゼロス「………あ?」
スノー「あと実力はあるし、現状考えても平凡な幸せは掴めるはずなのに変に意地張っちゃって敢えて茨の道に行っちゃうタイプと言うか…。
かっこつけたがりすぎて自分のポリシー貫きすぎて自爆するタイプ?
自分を誤魔化せない、って聞こえはいいけどそれだけ要領悪い人なのよね…。
それにやらしいし、私生活はだらしないというか無気力と言うか本当に仕事与えないと邪魔なだけな存在と言うか…。
ああ! やらしいって言うのはゼロスには似てませんね…ごめんなさい」
ゼロス「…なあ」
スノー「はい?」
ゼロス「てめえ、本気でそいつが大切なのか?」
贖罪/
リトル・スノーに自分の正体を告白したナイヅ。
自分が原因で彼が召喚されたと知ったリトル・スノーは、彼に謝罪の言葉を述べると共に、一言、ごくありきたりな言葉を述べた。
「…私にできることでしたら、なんでもしますから…」
それはありきたりな、社交辞令の言葉のはずだったのに。
それは長くこの世界で生き、大人になり伴侶と子どもを得た彼にもよくわかっていたはずなのに。
それでも彼は言わずにはいられなかった。その提案を。きっと冗談と受け止めてくれると思いながら、けれど少しは望んでいたことかもしれないその欲望を。
「……それで、あなたは……」
「ああ、満足する」
リトル・スノーは拒絶しない。否定しない。それは彼女が彼の本心を見抜いているからか、それとも――。
深夜、一人の女がナイヅの部屋に訪れる。
か細い肩に淡い白銀の髪を湛えたその女は、昼に見るのとはまた違った美しさがあった。
他の男を相手に、物柔らかで人々を安心させる満月のような笑みを浮かべていたその表情は、いまや冷たく透き通った青白い月光のように硬質だった。
女は一息呼吸を飲み込むような仕草をすると、胸の青い留め具に指を掻ける。それだけで、女のドレスは簡単に脱げた。
「――こちらに」
ナイヅは裸の女に手を差し伸べる。
その肢体は甘美であろう。それを味わう自らは幸福であろう。
しかし、この胸を占める後悔と罪悪感と背徳感、そしてほんの少しの悦楽への期待は、一体どういうことなのか。
ジャドウ「…という展開はなかったと?」
スノー「ないです!」
ナイヅ「ない」
人生色々/
ナイヅ「成り行きで命を狙われたり、魔王を封じることになったり…」
スノー「召喚された相手に乱暴されたり、自分の部下だと思ってた人たちに正直なことを告白したら大多数に辞められて胃が痛くなったり、信頼できる相手が敵だったり、好きな人にさらわれかけたり…」
ナイヅ「……………」
スノー「懐かしいですね…ほんとうに」
ナイヅ「いや…それで懐かしいだけって…」
スノー「そうですよ?
違います?」
ナイヅ「………………」
あれれおかしいな/
ナイヅ「年越しにはやっぱり、緑色のやつがいいとか、あんこはこし餡じゃなくて、つぶ餡のほうがいいとか、そういうことかな?」
スノー「はい?
そういうのは、ムロマチに行けば入手できますから別に懐かしくもなんとも…」
ナイヅ「え」
スノー「もしかして、行ったことありません?」
ナイヅ「む、ムロマチは…ああ確かに行ったことないかもな…。
あはは、懐かしいものがこの世界にもあったこと知らなかったなんて、惜しいな~。
けどそれだと納得でき……」
スノー「けどそれでもおかしいわね…資料によるとゴルデンでもお鍋はできるから、流通面では特に問題ないはずなのに…」
ナイヅ「は!?
そ、それって本当に…?」
スノー「アカシックレコード経由の情報ですから、まず間違いはないと思いますけど…」
ナイヅ「そんなことにそんな力使っていいのか!?」
スノー「(無視)それでもあなたが知らなかったとなると、家族の方の誰かが、ムロマチ文化が好きではないのかもしれないわね」
ナイヅ「ねっ、ネージュー!?」
スノー「ちなみにわたしはこし餡派です」
ナイヅ「いやそれは聞いてないから!」
以上の点を踏まえて正しい例/
スノー「あの、訊きたいことがあるんですけど!」
ナイヅ「ん? ああ…。
夏にはやっぱりプールのあとのイチゴミルクカキ氷とか、駄菓子屋のにんじんよりたまにワゴン車で来て売ってるポン菓子のほうがいいとか、そういうことかな?」
スノー「いえ、そういうのもあるんですけど…」
ナイヅ「ちがうのか?」
スノー「はい。
…あなたの思考に一瞬よぎった、『オレ一応シリーズの主役なのに大体横からあいつに美味しいとこかっぱられてるよなあ』…の、あいつって一体…」
ナイヅ「…………。
あの、それは本当に、できれば何よりも聞かれたくないんで…」
スノー「そうだったんですか…」
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